失われた大地に花束を〜endless bulled〜

 本土からの大規模なネイティブアルター掃討部隊と、カズマ、劉邦たちによる想像を絶

する戦闘が行われている頃、失われた大地(ロストグラウンド)の太平洋側からも、隠密裏に

本土の特殊工作員たちが上陸していた。

 指揮官は、船上から全員が上陸したのを確認すると、拡声器を手に話し始めた。

「諸君は、この失われた大地をネイティブアルター共から取り戻し、この地に秩序を回復

するために、我々の希望となるべくやってきたのである。諸君はこの地で生活し、ネイテ

ィブアルター共の情報を、我々に絶えず送り続けてほしい。また、可能であればネイティ

ブアルターを撃退し、捕獲する方が望ましい。この作戦が成功した暁には、諸君らは新た

なる自治政府の下、確固たる地位が約束されている。諸君らの健闘を祈る。以上!」

その言葉と同時に全員が右手で拳を作り、胸の前に持っていくHOLD式の敬礼を行う。指

揮官も、拡声器を脇に置くと、ゆっくりと敬礼を行った。それが終わると、全員がそれぞ

れ、思い思いの場所に散っていった。

工作員の一人である麻生達也(あそうたつや)は、その光景をなんとなく他人事のように眺

めていた。話が終わると、指揮官を乗せた船は本土へと戻った。彼はそれを小高い岩の上

から眺めていた。正直な気持ちを言えば、面倒なことに巻き込まれたものだ、というとこ

ろだ。しかし、いつまでもこの場に留まる、というわけも行かない。ほかのメンバーは、

既に目視できないところへ散ってしまっていた。

「とりあえず、昔住んでたところでも、行ってみるかな…。」

 そう呟くと、彼は北西を目指して歩き始めた。その方角には彼が、以前暮らしていた イ

ンナーの居住区があるはずだった。

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