闇街忌憚
和真の通う大学の食堂の利用人数は全生徒の90%を占めている。
とはいえ、その全てが同じ時間に利用しているわけではないし、当然空いている時間帯も
ある。
食堂の常連になっている和真は例え授業中であっても、空いてる時間に食事をとるために
出席をとったあと、抜け出して食堂に来て蕎麦をすすっていた。
「よぉ綾瀬。相変わらず授業サボってんな。」
「あ、綾瀬君また授業抜け出して来てる。」
同じ空いている時間を狙ってくる連中が口々に言いながら集まってくる。
「よぉ綾瀬、知ってるか?」
一番最後に現れた男が開口一番、和真に問い掛けてきた。
「何を?」
「お、その様子だと知らないな。」
「だから何をだよ?」
和真は目の前にある蕎麦をすすりながら答える。
「天海だよ。」
「あまみ?」
「そ、天海利哉。」
「誰それ?」
「あれぇ?綾瀬君知らないの?」
「天海利哉っていったら今評判の霊能者だぜ。」
「ほら、ちょうどテレビでやってるよ。」
和真はそういわれてテレビに目をやると。なにやら如何わしい衣装を身に着けた男性が司
会者の質問に淡々と答えているのが見えた。
「ふーん…で、この天海さんがどうかしたの?」
「来るんだよ、この学校に。」
「へぇ…なんでまた。」
「ほら、オカルト研究会夏の恒例行事『心霊体験肝試しツアー』があるだろ?あれの特別
ゲストとして招かれたらしいんだ。」
「へぇ…。」
和真は特に興味を示さなかったがまわりにいた連中が興味を示した。
「嘘、あの天海利哉が来るのか?俺参加しようかな。」
「あ、私も。綾瀬君も参加しようよ。」
「絶対参加しろよ。有名霊能者対我が校の霊能者、これは見ものだぜ。」
周りがそんなことを言って勝手に騒いでいる中、和真は画面の中の天海と視野を見ていた。
この先、彼ととんでもない関わり方をするとは全く予想だにせずに…。
和真の通っている信州理工科大学には夏の恒例行事の一つとして超常現象研究会、通称
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