闇街忌憚
していたメンバーが集まっていた。
正確には彼らは最初からその場におり、それに気づかず雄哉が近づいてきたのだが…。
「な…何で…。」
驚愕と疑問を同時にあらわした声を上げる雄哉に和真が答える。
「一応これでもそういう情報収集は怠らないようにしてるんですよ。あ、心配しなくてい
いですよ。ここにいるメンバーは全員このビデオ撮ってたときにその場にいましたから。」
その言葉が聞こえているのかどうかは不明だが、とにかく彼の顔色は先ほどから悪くなる
一方だ。
大体、自分には霊能力が無いということが知られただけでも大事件だというのに、この連中
は自分達の本名まで知っていたのである。
そんな雄哉に和真が耳元で囁く。
「今夜11時半、さっきの騒ぎが起きた草原で待ってますよ。あ、勿論天城利樹さんも一緒
にね。」
そういうと和真たちは去っていったが、雄哉はそれどころではなかった。
自分達の正体が知られてしまい、しかも映像に記録まで残っている…。
これからすべきことはこれの対策を練ることだ。
まず彼等の口を封じること、次に映像を始末すること。
彼等の口を封じることは簡単に出来るだろう、金で釣るか、それが駄目なら殺してしまえ
ばいいだけだ。
問題は映像のほうである。
前者の場合これ以降も強請られる可能性が出てくる。
後者の場合は彼等がビデオテープを隠し、その場所がわからなくなる可能性がある。
この場合最良の選択肢としてはとりあえず前者のほうが安全だろう。
上手くすればこれで終わるかもしれないし、何とかテープの在処を聞き出してしまえば彼
等を殺すことくらい後でも出来るのである。
とりあえず、この場はこれで行こう。
雄哉は腹をくくると最初にすべきこと、携帯電話を取り出し利樹に連絡をとった。
「利樹か?実は…そうだ、で…ああ…そう、今夜11時半に…。じゃあ任せたぞ。」
そういって、電話を切ると雄哉自身も準備の為その場を後にした。
その眼は憎しみに染まっていた。
和真は定刻どおりに小雪と共に現れたが、雄哉達は定刻より30分早くそこに来て準備を
していた。
そして、二人を確認するといよいよ計画を実行に移し始めた。
「どうも、お二人ともこんな夜遅くに来ていただいて…。」
「そんなことはどうでもいい、早く要求を言え。」
普段と全く変わらず話す和真に利樹が勤めて焦りを装って早口で言い返す。
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