闇街忌憚
う、よ。」
その単純明快にして簡潔な解答に雄哉は再び問い掛ける。
「それはそれでかまわないが…どうやってこの人数を相手にするんだい?2対10では明ら
かにそっちのほうが不利だと思うんだが…。」
その言葉の2対10という部分に和真が敏感に反応し、意見を言う。
「ちょっと待った、俺はその気は全然無いんだけど…。」
しかし、その言葉は最後まで言い切ることなく、囲んでいた男に遮られた。
「そんな戯言は通用しねぇんだよ!」
言葉と同時に和真に向かって拳が飛んできたが、和真はそれをものともせずいとも簡単に
避けると言葉を続けた。
「いやー、意思表示は大切だよ。ほら、正当防衛とか成り立つ場合もあるし…。」
「ふざけるなよ、正当防衛したいなら勝手にしろ!」
その言葉を聞いた和真は軽く笑うと言った。
「ふーん、じゃあこれは正当防衛でいいよ…ね!」
言葉と同時に相手の腹部に右拳を深く突き刺し、それを退いてから右の回し蹴りを上段に
派手に当てた。
「なんだかんだ言って結局やってるじゃない?」
「変なこと言うなよ。これは正当防衛だよ、正当防衛。」
その様子を傍観していた小雪が言うと、和真は笑いながら答えた。
「正当防衛ねぇ…。まあ良いわ、残りは私がやってあげる。」
小雪がそういってから懐から数枚の札を出すのを見て、雄哉が嘲笑する。
「ははは、そんな物でこいつらとやりあえる無いだろう。」
だが小雪はその言葉に微笑みで答えた。
「出来るかどうかは見てのお楽しみよ。」
彼女はそういうと札を天に向かって投げ呪文を唱える。
「わが呼び声に答えよ式神。」
それに反応して札が白く、眩い光を放ち、その場にいるすべてを呑込んだ。
その光がやむと、そこには札の数とピッタリ同じ数だけ鎧武者が立っていた。
「さあ、これでもまだやりあえないなんて言える?」
小雪は目の前で起きた光景に驚くだけの雄哉を見て、余裕の表情で言った。
雄哉が憎らしげに和真と小雪を睨み、利樹は呆然とそれを見ていた。
反対に小雪は爽快な表情をしており、和真は呆れたといった風に小雪を見ていた。
四人の周りには小雪の式神よって、あっさり気絶させられたヤクザ達が倒れている。
そのままの体制で動かなくなった時を元に戻すべく、和真が話を切り出した。
「一瞬で終わっちゃいましたねぇ…。どうですか?ここら辺でお終いにして要求呑みませ
ん?」
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