Ray Hazardz

「この商売は結構大変でな、警察の目も厳しい。ところが俺はその警察にいるわけだから、

目の届かないところは全て知っている。おまけに麻薬課に勤めてるおかげで、品質の高い

ものを客に提供できる。そんなわけで実力者のお得意様というのが多いんだ。そのお得意

様への日ごろの感謝の気持ちに、あるサービスをしようと思っている。お前に手伝っても

らいたいのはそれだ。」

彼の話が進むにつれて彩の表情が不安と恐怖に染まっていく。

「そのサービスって…まさか…。」

「察しがいいな、その"まさか"だ。お前には体を使ってお得意様に奉仕してもらう。」

彼女は恐怖で身体を震わすが、搾り出すように震える唇で声を出す。

「そ、そんなこと…できると思ってるの…?」

「できるさ。こいつを使えばな。」

その言葉を合図に物陰に隠れていた男達が姿をあらわし、2人が彼女を羽交い絞めにする。

同時にドアから入って来た1人の男が、一本の注射器を秀樹に渡した。

「コイツは極上品だぞ、うれしいだろう?」

話しながら彼女に近寄る秀樹が美千夜の脇に差し掛かったときだった。

「なるほどね…自分の娘まで使おうってワケか…。」

撃たれたはずの美千夜から声が発せられ、同時に足払いを受けた秀樹が尻餅をつくように

倒れる。

「お前…最低。」

美千夜が殺気混じりの眼で睨みつけながら威圧するように呟く。

秀樹はそれに気おされながらそれを振り払うかのように叫んだ。

「き、貴様こそ金さえ払えばどんな事だってやるんだろうが!」

更に這いつくばるようにして3mほど後方へ移動しながら再び叫ぶ。

「何をしている、娘は後でかまわん。さっさとこいつを殺せ!」

それを聞いて、彩を拘束しているのも含めた全員が一斉に美千夜に銃を向けるが、彩はう

ろたえていて動くことができない。

「あ、娘は押さえつけておけ!」

秀樹の叱咤が飛ぶより一瞬早く、美千夜が彩に駆けよりその勢いで1人に飛び蹴りを見舞

う。

それを見た彩は悲鳴をあげてかがみこんだ。

慌てて銃を構えなおすもう1人には軽く跳躍してから彩の頭越しに右の回蹴りを見事に

ヒットさせた。

それぞれが声をあげて倒れるのを尻目に彩の手を掴みフロアの端まで一気に駆ける。

「ここを動くなよ!」

彼女に言い置いて懐から銃を抜く。

彼の意志をそのままあらわすように、漆黒の銃身には白い文字で"I'm freedom"という英

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