Ray Hazardz

彼のその言葉を待っていたように彼は声をあげて笑い出した。

「なかなか賢いじゃないか!そのとおりだよ。美千夜戎、銃刀法違反及び障害の現行犯で

逮捕…。」

言い終わる前に彼の右頬を銃弾が掠める。

当然、美千夜が彼に向けて放ったものだが、威嚇とも撃ち損じとも取れる微妙な位置を

通り抜けて壁に弾痕を穿った。

「悪い、ちょっと暴発しただけだ、話を続けてくれ。」

「お前を逮…。」

彼の言葉が始まるか始まらないかのうちに、今度は左頬を弾丸が掠めて通り過ぎていく。

「悪い、狙いがそれた。」

「狙い…だと?」

「そう、お前の額を狙ったんだけどねぇ…ちょっとそれちゃって。」

「貴様…この俺を殺ろうというのか!?」

「当然。」

ここまで来ると、同情を通り越して、秀樹が哀れに思えてくるほどの早さで、あっさり

と答える。

「殺せると思うか?」

「勿論。」

後退りしながらの質問にも即答した。

「ああ、逃げるつもりなら別にそうしてもらってかまわないが…容赦なく、狙うからな。

俺をただ働きさせた罪は重いぞ。」

「それだけの理由で人を殺すな!」

「心配するな、銃撃戦の末に一人くらい間違って死ぬのは、良くあることだ。」

「この国で銃撃戦が起ること自体が無かろうが!」

「ここはやっぱり悪の元締めとして華々しい最後をだな…。」

「遂げてたまるか!」

「………我侭なヤツだなぁ。」

「どっちがだあぁ!!!」

頭を掻きながら呟く彼に、彼は絶叫するとともに一気に後方へ駆け出す。

この場から逃げ出すこと意外、彼が生き延びる道がないからなのだが、次の瞬間むなし

くもそれは打ち破られた。

後方から銃声が鳴り響き、前方のドアの取っ手が吹き飛ぶ。

驚いて振り返ると、美千夜が住を片手にしたままこちらに向って走っていた。

「だから行っただろ!逃げても容赦なく、狙うってな!」

「実弾を発砲するんじゃない!せめてペイント弾にしとけぇ!」

「実弾だからこそ、本気になれるというもの!」

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