Ray Hazardz
言いながら銃を懐にしまう。
「さて、警察がここに来る前に引き上げないとな…連中と顔合わせると厄介だし。」
独り言のように呟きながら部屋を後にすると、そのままどこかへ消えてしまった。
警官達が部屋へ入ったのはそれから1分もしないほど短い時間だった。
行く先々の部屋をしらみつぶしに調べているらしく、彼女の元へきたのは数人だったが、
幸運にも拘束を解かれていなかった為、彼等は話を大体理解してくれた。
秀樹も彼女は無関係であると主張していたらしく、その後の事情聴取でも彼女の話は一部
を除いて殆ど受け入れられた。
当然ながら、受け入れられなかったのは始末屋、美千夜戎に関する事である。
数日後、彩の一件の後珍しく依頼のこない暇を持て余す日を過ごしていた美千夜の元に
芳賀から電話が入った。
「この間はただ働きをさせて悪かったな。」
「俺は別にかまわないんですけどね。多分芳賀さんのところには、仕事料が入ってるんだ
ろうな、とは思ってますけど。」
「何のことだ?」
「…警察から依頼があったんでしょう?おそらく白井彩からの依頼の直前に。で、どうし
ようか考えてるときに、彼女から依頼があったんでそれを利用した、当らずとも遠からず
だと思いますけど?」
その予想を聞いて、彼は降参したといったような口調で返事を返した。
「全く、俺の嘘はお前には通じないな。」
「当然ですよ、騙された回数が半端じゃないですからね。」
「疑心暗鬼になるのは良くないぞ。ところで、お前に客がきたんだが…。」
「客?…依頼ですか?」
"客"と言う表現が気になり質問してみる。
「いや、ただお前に会いたいだけらしいんだが、これから連れて行っていいか?」
「いえ、今出先なんで今日は無理ですね。」
実際は自宅にいるのだが嫌な予感がして居留守を使う。
「そうか、じゃあしょうがないな。どうしても会いたいらしいんだが。」
「それは残念ですね。今日のところは諦めてもらってください。」
「ああ、忘れるところだった。お前にいうことがあったんだ。」
「なんですか?」
「出かけるときは電化製品の電源は切っておいたほうがいいぞ。電気メーターがそれなり
の早さで回ってる。」
「は…?」
一瞬何を言われたのか解らず、解った瞬間に戸惑ってPEを落しそうになる。
「空調でも入れっぱなしなのか?さっきから電気メーターが回りっぱなしだぞ。」
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